カンパニョーロ レコード フロント変速機  Campagnolo Record (FD)

カンパニョーロ・レコードのFDは、パラレログラム機構の雄としてよく
知られている。1950年代のデビューから、相当の長きにわたって生
産されており、その完成度の高さが窺われようというものだ。

生産時期によって何種類か世代があるようで、初期のものは、画像
で言うと手前側の羽根の外側が、より面一に近いなめらかな形状で
あり、通称「ナメクジ」と呼ばれているようだ。なんだかSLのD51の識
別みたいであるね。

この変速機をいまだに私が使用しているのは、現代ではクラシックな
機構であるにもかかわらず、それなりに何とか変速してくれるからだ。
今日びのMTB用のFDみたいな性能があると思ってもらうと困るけど、
古典的なFDを扱える気遣いがあれば、まあなんとか使えるのだ。

カタログ上のキャパシティは、確か18Tではなかったかと思うが、私の
車では、46-38-26という20T差でもいちおう使えている。ただ、センター
ギアに変速するとき等に特に気遣いが必要であるのは言うまでもない。
実を言うと、最初に使ったのはシルエットがほぼ同じバレンティノだった。これはどうもあまり使いよくなかった
のだけれど、先輩が「レコードの羽根を上げるから、使ってごらん」と言ってくれたので、付け替えてみた。そ
うしたら、格段に変速性能が上がった。バレンティノの羽根は、仕上げが一段落ちるだけでなく、材質と剛性
にも若干劣る部分があったようで、レコードの羽根に変えただけでたわみなどが激減したらしい。あとあとま
たその先輩から、完成品のレコードFDも頂戴して使わせてもらったのだけれど、観察してみるとバレンティノ
もレコードも、パラレログラム機構そのものに関しては、ほぼ同じらしかった。

レコードのFDは、精度という点でも工作水準が高い。シートチューブへの取付け面なども、かなりよく出来て
いて、気持ちがいい。自分で組み付けたことのある方は、そのことをよくご存知ではないかと思う。画像にあ
るような、ロゴのエングレーブなども、非常に魅力的だ。

そういうわけで、このFDに出会って以来、トラディショナルなランドナーのFDはこれでいいや、という思いが強く
なり、さっぱりほかのものを使う気になれないでいる。そういうランドナー乗りは世の中にも多いらしく、FDはこ
のカンパ・レコード、RDはサンプレ、というアッセンブルが、しばしば見られるのであった。



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上記のレコードFDの年次による型の差まで把握しているような、特別詳しい方を除けば、
多くのファンにとって楽しめるのではないかと思われる、カンパの解説ムックを、下方のアマゾンのリンク付きでご紹介します。

現在のラインナップはもちろん、75年の歴史もなかなか突っ込んで書かれていて、歴史を概観する部分だけでも14pある。
その部分には、1933年製のクイックレリーズハブとか、初のパラレログラム式フロントディレーラーとか、懐かしのデルタブレーキなどなど、
のけぞるような名品の小解説も散りばめられており、気がつくと、小さな写真を息を呑んで見たりしていた(^^)。

上記と別に、リヤディレーラー全解説というコーナーも14pあって、あの「グランスポルト」から「Cレコ」経由で、近年のモデルに至る。
こういう解説からはだいたい外れることの多い、「グランツーリズモ」や「980」や「ヴィクトリー」あたりが載っているのも
うれしいですね。14pで35点以上載っており、レコード系は全体写真だけでなくて、機能や構造の説明用に別角度の部分写真も掲載されている。

カンパの真似系パーツについても4pのコラムがあり、「ゼウス・クリテリウム」もご登場。
そのほか、レコードのチェーンホイールについても、1958年のものから2007年モデルまで、4p割かれていた。

画像も非常に美しく撮れていて、マーシャル・フォトの熟練したプロによる撮影であるようだ。
相当な点数があるのに、ここまで集中力を持続できるのはさすが。

というわけで、少なくとも私にはかなり愉しめた。現在のカンパニョーロを伝えることに主眼があることは間違いないけれども、
歴史的なものにも、上記に記したようなボリュームが割かれているし。

蛇足だけど、アマゾンでは「なか見! 検索」の対象となっているので、目次やページの一部も閲覧できる。


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